Sin

少年は怪訝そうな目をジャックに向ける。何がどうしてそうなるんだ、と言いたげだ。

「名前を教えてくれたら、その戸棚の食べ物は全部君のものだ。教えたくないなら今すぐ返してもらう」

どうする? とジャックが問うと、少年は腕の中の果物と彼を見比べた。

しばしの葛藤の末、不信より食欲が勝ったらしい。

少年はジャックを睨みながら答えた。

「……シン」

微かな勝利を噛み締めながらジャックは微笑む。一歩、彼に近付けた。

「シン、か。男らしくてカッコイイ名前じゃないか」