Sin

シンは男をお父さんと呼んだ。

初めての父親。嬉しくて何度も呼んでみた。

夜になり、お父さんはシンを抱き抱えて部屋に連れていってくれた。広い家には沢山部屋があった。

「シン一人じゃ寂しいだろう? 今日は父さんと一緒に寝よう」

大きなベッド。温かい布団。

シンはお父さんの懐にもぐりこむ。温かくてほっと息をつく。

母親の事を思い出すと寂しくて、胸の奥が痛くて。

隣にいる温もりに思い切り甘えたくて、シンはお父さんにぎゅっと抱き着いた。

きっと、幸せになれる。

「ありがと、お父さん」

額におやすみのキスをしてくれた男にシンは笑いかけた。




――幸せに、なれる。

そう、信じていたのに。