Sin

それは発作的な行動だった。

ぼろぼろと泣きながら、シンはジャックのクローゼットからネクタイを取り出す。

……ジャックのせいだ。

ジャックと会わなければこんな気持ちにならなかった。

人に嫌われたくないなんて、棄てられたくないなんて思わなかった。孤独になる事を怖がらずに済んだ。

ジャックを信じたりしなければ、こんな不安を感じなくて済んだのに。

『死ねばいいのに』

母親の言葉に突き動かされるように、シンは紺色の輪の中に自分の首を通した。

もうこれ以上、恐ろしい悪夢に追いかけられたくない。不安や恐怖から解放されたい。

楽に、なりたい。

シンは木箱を台にして、ロフトベッドの一番高い手摺りにネクタイの端を固く縛り付けた。


――母さん。

あなたの望み通り、死んであげる。

喜んで、くれるよね……?


木箱を蹴って倒す。

ぶらりと足が宙に浮く。

細い首を静かに絞めあげ、呼吸を奪う紺色のネクタイ。

くる、しい。

シンは無意識にもがいた。輪はさらにぎりぎりときつく絞まっていく。

この苦しさにさえ耐えれば、静かな眠りにつける。二度と苦しまずに済む。激しい苦しみに顔を歪ませながら、シンは自分に言い聞かせた。


ねぇ、母さん。

本当は俺の事、愛してくれてたよね……?


薄れていく意識の中、シンは声無き声で母親に問い掛けた。