そこで、先方にも気兼ねなき者を、と、一の君は、供回りの者から朝露をお召し出しなされて、 「お前、此方へ、文使いを頼まれておくれね」 と、差し出されるのは、漆に藤の香る文箱にございます。 濃緑の紐で封じられたそれを、一の君は、朝露にお渡しになるのでした。