「あの……銀、ありがとう!」 「どういたしまして」 振り返ることなくそう答えると、銀は片手を軽く上げて屋上から出て行った。 「ハァ……」 一人っきりになっちゃった。 あたしはさっきまで銀がしていたように、その場に寝転がり青い空を見上げた。 好きだった翔太君の前で派手に転び、恥ずかしくて今すぐ逃げ出したかった。 踏まれてグチャグチャになったチョコを見て、胸が痛んだ。 からかわれて、クスクス笑われて、自分が哀れで仕方なかった。 でも、銀のお陰で気持ちが楽になった。