「ぁ……あ…」


思わず嗚咽に似た慟哭が、漏れる。



何かに縋りたい


何でもいい、誰でもいい


「………あいつ…」


昼間出逢った、あいつ。


因幡梓と名乗った、男だ。


バーで寝泊まりしていると言ったはずだ。


俺はもう、走り出していた。