放課後、由梨がわたしの元へやってきた。 「もー春ってば、遅い!」 「そんなこと言ったって……」 わたしは全然乗り気じゃない。 だから、ついつい行動も遅くなってしまうわけで……。 「春に会いたいなんて言う人は貴重なんだからね!」 貴重ってあんた……ずいぶん失礼。 ま、悪気があって言ってるわけじゃないからサラリと流せるけどさ。 「とにかく、早く行こう? 向こうの方が近いから遅れちゃう!」 「はいはい……」 由梨に急かされて教室を出る。