それが嬉しい。あたしの言葉でも、矢吹先輩が動揺してくれるんだなと分かったから。



「無理……ですか?」



いつの間にかあたしは、矢吹先輩がどこにもいけないように服を掴んでいた。


上を見ると、自然に矢吹先輩を見上げる形になり……どんな表情をしているか、すぐに分かる距離。



赤くなっていく頬は、あたしも同じできれいな瞳をずっと見つめたいと思った。


だけど不意に遊園地の光景を思い出し、慌てて服を離す。



あたしは、触れないんだ矢吹先輩に……触れたりドキドキさせれるのは彼女のあの人だけ……



こんなに側に居るのに……こんなに近くに居るのに……



「やっぱり気にしないでください!」



諦めないとダメなんだ。矢吹先輩を……忘れられるかな?



こんなにたくさんの表情を覚えてるのに……