もう一度声を掛けてもずっと無言。



しばらくすると、矢吹先輩の携帯が鳴った。



「もしもし……」



携帯を耳元に当てる矢吹先輩をじーっと見つめる。背中をじーっと見つめていたあたしを一瞬睨み付けると、また話しだす。



「うん……大丈夫だけどデート」



っ……デートって……矢吹先輩誰かとデートすんの？


思わず、隅っこから立ち上がると矢吹先輩に近いた。


「ごめん、ちょっと待ってて」



慌てて矢吹先輩から離れる。だけど、遅かった。



「部屋から出てって。今だけ」



ガラリと部屋のドアを開けて、あたしを摘み出す。


『……うん。分かった。……』



ドアに耳を当てても、あまり聞こえなかった。
肝心の待ち合わせ場所とか色々。