「僕は……ムリだな」


瀬名さんは、あたしに頭を下げる。



だよね……普通は、買えないよ。恥ずかしいから。



「俺が買うてこようか?」



スーっと降谷お兄ちゃんの手が、二万円を掴む。指と指の間にお札を挟み、ヒラヒラさせた。



ガタンと椅子から立ち上がってあたしは、降谷お兄ちゃんを見上げる。



「良いの?!」



「ええよ、可愛い妹の為やしな」



ニッコリ笑いながら降谷お兄ちゃんが言う。



「なんじゃ、俺も買って来ても良かったんじゃが」



肩を落としながら綺恭お兄ちゃんは、ブーブー言っていたけど、あたしは気にしなかった。



ヤッター!これで家に帰らないですむよ!