これはまだ、中将殿が左大臣家の一の君とお呼ばれになっていた、十二歳(とおとふたとせ)のころにございます。

その出会いは、中将殿が姉姫、左大臣家の一の姫君が、春宮(とうぐう、皇太子)におたちになった二の宮様の正妃として入内されるという、その朝のことにございました。