虫。 私にとってはただの虫けら。 私は彼の何十倍も早くこの大きな手を動かし、 彼をひねり潰すことができる。 現に今までそうしてきた。 そうしてきた。 それが私が少しばかり 世界の大きさと 人の多様さに疲れていた頃だったからか、 それにも関わらず 異なった毎日を望む年頃だったからか。 彼と暮らすという閃きに一瞬酔った。