「奥平っ」
なんでこんな事をしたのか、真相を知ろうと奥平と向き合おうと振り返った瞬間―――。
月に照らされて
慌ただしいほど鳴る心臓が聞こえるほど静かな場所で
奥平の唇があたしの唇を塞いでいた。
世界で一番嫌いか奴
そのはずなのに、全身が赤く火照る。
唇が離れて慌て俯いた。
頭の上に奥平のおでこが重なる。
それだけは嫌。
「頭は駄目」
「じゃあどこだったらいい?」
「ここ?」とみみもとで囁いて奥平の手が腰に回る。
「なんで触るのよーι」
密着した体を腕で離そうと抵抗すればするほど腰に回る手に力が篭る。
三年間我慢してたんだ。やっとやって来たチャンスだ。
と、奥平は咲の首筋に顔を埋めた。

