切ナクテ、恋シイ、ヒト。


なに言われるかってわかっていたけど。


わかっていたから聞きたくなかった。





アタシがやってることはよくないことだってわかってるから。


あのときから一歩も踏み出せない自分。





アタシ自身もこんな自分が嫌い。


「・・・死んだ奴は帰ってこない」

彼はアタシにそう言い放った。





だから。

アタシは思わず手を上げた。


彼はアタシの手を掴んでそのままアタシを抱きしめた。


息があがって涙目になる。




抱きしめられながら少し自由になっている右手で何度も彼の胸を叩いた。