切ナクテ、恋シイ、ヒト。


彼が食べている姿をぼんやり見ながら考えた。


・・・・・。

え?


違うから。


今の。




別に伊勢田 優のことじゃないから。


アタシは焦って頭ん中に浮かんだことを帳消しにした。





でも。



この人、こういう表情できるんだ。





初めて会ったときの挑発的で冷たい感じじゃなくて。




今はとても穏やかだ。

この人。




ふと視線が合うと彼はサクランボのへたを舌でくくって

得意げにアタシに見せてニッと笑った。


「!!」


恥ずかしくなってうつむいてしまう。


もう・・・。