次々と投げ付けられるそれに、混乱する頭でリイエンは父が殺された時のカツールの村を思い出した。

そう言えば、村に着いた時には誰もいなくはなかったか。

あの血生臭い風は。

あの、無の気配は。

きっと父を殺したという吸血鬼が、残忍に村人達の命をも奪ったのだ。

そして今、再び吸血鬼である『彼』と現れた『自分』が、“村人殺し”の犯人にされているのだ。

自分を蔑む幼い目に、涙が込み上げそうになる。

「チッ」

頭の上で、レンバルトが舌打ちしたのが分かった。

彼も、吸血鬼だ。

こんな小さな子供達などその命、一瞬にして奪えるだろう。

(それはダメだ)