「お前を倒して、ついでに娘も冥土に送ってやる!」

「させんと言っているだろう」

闇へと染められた空間に、力と力のぶつかる音がする。

砕けた力は欠片となり、互いの身に細かな傷をつけた。

「なぜその娘にそこまで肩入れする?オルフェルト…奴の娘だからか?」

レンバルトの背後の、銀の膜に包まれて眠る少女をザーディアスが一瞥する。

青年は泰然としたまま答えない。

「我らが眷族の血を半身に引いておきながら…口先だけの、何の力もない愚かな…」

ザーディアスの言葉が、青年の揮った力によって途切れる。

ふつり、と長めの黒髪が一房、切られて闇に散った。