今夜のこの瞬間を二人の最後の思い出にしようと、私は一人心に決めていた。


なぜかって?


それは、いずれ私の目は見えなくなってしまうから。


だんだんと見えなくなっていくのを、私は日々実感している。


そのことは正直、すごく怖い。


失明で失うものは視力だけではないだろう。


仕事だったり生活だったり今あるたくさんのものを、きっと手放さなければないらない。


わかっていることなのに、その事実に何度も押しつぶされそうになっている。


だけど・・・。


だから・・・。


別れようと思った。