「光里。

今から文化祭回るか」



「でも、制服喫茶は…?」



「どうにかなるだろ」



いっちゃんはあたしの手を掴むと歩き出した。

あたしもいっちゃんにつられて足が動く。



「…兄貴変わったな」



突然、いっちゃんがポツリと呟いた。



「そうなの?」



あたしの心の中の那知君は、いつも元気で活発な男の子だったのに。



「兄貴、前は明るかったのに、中学にあがるくらいの時期に、急に冷たくなったんだ。

「心ここにあらず」って感じだったんだよな。

やっぱり、奈美さんと出会って変わったんだろうな」



那知君が奈美さんと出会って変わった…。


やっぱり、恋をすると人って変われるんだね。



あたしは、いっちゃんと出会って何か変われたかな?



いっちゃんも、あたしと出会って何か変わったかな?



「おい、まず何行く?」



「お化け屋敷!!」



あたしといっちゃんも、那知君と奈美さんみたいな、


―――お似合いのカップルになれたらいいな。




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