「もしかして榊(サカキ)さん?」 ゆっくりとキッチンを覗きこんだ。 「潤さん。おはようございます」 目の前には、白いエプロンをした、ショートヘアの榊さんがにっこりと笑って立っていた。 「あー、びっくりした。榊さんがいるってことは、二人とも長期で帰ってこないんだ」 「えぇ。旦那様から今朝連絡がありまして」 「そっか」 榊さんはこの家の、所謂メイドさんだ。 しばらく会っていなかったけれど、両親が長期に渡って家をあける時は、必ず手入れにやってくる。