「・・・お姉さんは悲しい時ある?」 「ないわ」 即答で答えるお姉さんの目には迷いがなかった。どうしてそんなに感情なく答えれるの? 「どうして怒らないの?」 今度はお姉さんが質問してきた。 「どういうこと?」 「普通子供が悪さをしたら、親が怒るものじゃないの?」 お姉さんが着物の帯を整えながら言った一言で、私はハッとした。 「怒る・・・。そうね。本当にその通りかもしれない」