そう、その言葉はその時の私にとっての一番の希望。全てを失い、いつ自らの手で止めてもおかしくなかった私の鼓動を唯一この世界に繋ぎとめていた言葉だったのだ。

それに逆らうことなど出来るはずもなく、自らそれを望んだ。

そして私は、ほどなくして軍の研究所に移された。

 色々な検査が行われ、これから私がうける処遇について詳しい説明を受け、それに対する覚悟を聞かれた。

 過程や結果などどうでもいい。言葉は虚ろに私の上を通り過ぎていく。

 私の意識のなか唯一明確に存在していたのは目的。

 ただ、それのみ。

 復讐を行うための力を得られるのなら何でもいい。

 この怒りを、憎しみを、晴らせるのなら。私は悪魔にだって魂を売っただろう。










 ――母さん、レン……待ってて……

 夜毎、母の形見のロザリオを握り締め。

「コロシテヤル」

 かわらぬ言葉をつぶやきながら、ベッドの中で私は待った。

 そして、更なる検査を重ねる日々をしばらく過ごした後……待ちわびたその日はようやく訪れた。