その後のことはあまり覚えていない。

 ぶつぶつとつぶやきながら、廃墟と化した町を歩いているところを自国の兵士に見つけられ、保護されたらしい。

 私は、軍の本部がある街の孤児院に収容された。

 そこには隣国の攻撃で身内を亡くした子供が大勢、国内の各地から集められていた。

 この施設は戦争が始まってから作られたものだと聞く、広く大きな建物の中には様々な設備があり、敷地内には医療施設も併設してある。

 私の腕は完全に折れていて、かろうじて体は動くものの、全身打撲や切り傷で常に痛みに犯され、度々発熱に襲われ、うなされた。

 長い時間、ベッドのなかで過ごし、熱にうなされながら……

「コロシテヤル」

 その言葉を繰り返してばかりの私に、周囲の子供がおびえるからと、私はやがて施設のはずれにある個室病棟に移された。

 他にも、精神的に重度の問題があると判断された子供が何人かいるらしく、それぞれに個室が与えられ、時折り神父が訪れ、祈りの言葉を読み上げるのが聞こえる。