一際強く。

 拳を床に打ちつけ、そのままの姿勢でぼんやりと視線を泳がせていると、床に散らばるガラスの破片や石くれ、木片などの残骸に混ざって、母が大切にしていたロザリオが落ちているのを見つけた。

 私はそれを拾い握り締めると、先ほどまでは窓であった、今は壁ごと破壊され只の空洞と化した空間へ近づき、外を見た。

 辺りは煙で充満し、あちこちで、まだ火の手があがっている。砲弾の音はもうやんでいた。

 町は破壊の限りをつくされ、遠くから誰かが泣き叫ぶ声が聞こえる。

 それに混ざり、虫の羽音にも似た、けれどもっと重く禍禍しい……空気を震わす音が耳に滑り込む。

 音につられるように見上げれば、下から赤く照りだされた漆黒の空に紛れ込むかのように、黒い機体が高度を上げて敵国の方角へ飛んでいくのが見えた。

「……ろしてやる」

 胸のうちが、みるみる憎悪で満たされていく。















 コロシテヤル

 コロシテヤル

 コロシテヤル

 コロシテヤル

 コロシテヤル










 コロシテヤル――