そして、アタシ達の結婚式が始まる。





「緊張してる?」





アタシの手を握りながら、父親の代わりを頼んだ柚木編集長が笑顔で尋ねる。





「はい。ランウェイよりも緊張します」





「あんな大きなステージで、緊張しません。楽しいですって言ってたのに?」





「そうですけど、結婚式ってやっぱり一度きりなので」





「そう? 私は二回目もやってもいいかなって思ってるわ」





「そうしてください。マアサさんが喜びます」





「喜んでくれるなら、がんばろうかな」





お時間です、とスタッフに促された。





アタシ達の前の扉が開かれ、バージンロードの先で彼が待っていた。





お決まりの結婚行進曲に合わせてアタシと柚木編集長は一歩ずつ、彼の元へと歩いていく。





新郎側には杖を突いた彼のお父さん、彼と一緒でとても優しい。





その隣には母親代わりの黒い着物が似合う美咲ママこと、サトルおじさん。





近藤君と遠藤君やクラスメイトの男子。





新婦側には、アヤカ。





栄川先生と月極先生。リエとマアサさん、マシュリさん、そしてクラスメイトの女子達。





その中にエリーの姿はなかった。





招待状は実家に送ったけど何も返ってこなかった。





どこにいるのかも、誰も知らなかった。





ほんとうは、エリーにも祝福してほしかった。





ケンカ別れをしたままだけど、一瞬だったのかもしれないけど、アタシは彼女のことを友達だと思っていたのだから。





そんな悲しみを感じたまま、アタシは彼の元にたどり着く。





柚木編集長がアタシの手を彼に渡す。





「ハル」





「ナツキ」





そしてアタシとナツキはみんなの前で愛を誓い、指輪を交換し、キスをした。