「うすうす気付いてたんだが・・・
毬子…お前…啓人くんを好きなんだろ?」


お兄さまが、私をじっと見つめる


「・・・・えぇ、私、啓人さんが好きよ」


顔を上げ、ハッキリとそう伝えた


「やっぱり・・・そうか・・・・はぁ~」



いつもは冷静なお兄さまが、頭をかかえた。



「お兄さま、この婚約、家同士の事業のことが絡んでいるの?」



「親父のことだから、
利益がないことには手を出さないから、そうだと思う」



「お兄さま
今まで私、どうしてもイヤなものは、なかった。
それは、恵まれているからだとわかっているの。

感謝もしているわ。
だけど、この婚約だけは、受けられない。
受けなきゃいけないのなら、私、この家を出るわ!」


そう


私は初めて、お兄さまに自分の意志を伝えた