「毬子さん…」



俺より、20cm近く低い彼女は、ハッキリとした瞳で俺を見上げた。



「俺は…今、記憶がなくて…
申し訳ないけど、君のことも覚えていない。

だけど、以前の俺は、きっと君のこと好きなんだと思う。
だけど…
その記憶や感情がないまま君を幸せにする自信がないんだ。

ヒドイって思われるかもしれないけど、
俺も苦しくて…
ゴメンな…」



「えぇ…
わかってます…

ただ、これからも会ってお喋りしてくれるのは、イイですよね?」



「もちろん!
俺からも宜しくお願いします」


俺は、深々と頭を下げた




「「ぷっっ」」



お互い、可笑しくなって笑いあった。