「ハッキリ言ってしまえば、これ以上、毬子に深入りしてほしくないんだ。」
「・・・・・」
「悪いが、君のこと少し調べさせてもらったんだ。
ごくごく普通の家庭の長男だよね。
ハッキリ言えば、君と毬子は釣り合わないよ。
毬子の家は地元じゃ有名な財閥だからね。
普通の家庭では、無理だと思うよ」
記憶がない俺だけど、
何だか、腹が立った。
「釣り合う、釣り合わないは、関係ないと思いますよ!
すべては当人同士の気持ちの問題でしょ!
悪いですが、俺、一応、病人なんで、
変な刺激与えないでくれませんか?!」
イケメン医師は、何も答えず、病室を出て行った。
興奮気味になったせいか、なんだか、頭の奥が痛くなった。
記憶がないことへの腹立たしさ。
いつになれば思い出せるのかわからない不安。
いろんな気持ちが混じっていた。