「紅実ちゃん、この間はありがとう」 紅実ちゃんの目線まで膝を曲げ笑みを贈った。 「啓人兄ちゃん、落とし主見つかった?」 「それがまだなんだ。 あんな高そうなバイオリン、 落とし主も困ってるだろうね」 「早く落とした人のところへ戻るとイイね…」 素直に心配な心を口に出すところが、紅実ちゃんらしい。 この純粋な心のまま成長してほしいと願うばかりだ。 そして このバイオリンの持ち主が、 俺の人生を変えることとなろうとは!