「君、俺の名前、知ってるの?」
「啓人お兄ちゃん、本当に紅実のこと、わかんないの?」
「紅実ちゃんっていうんだ。
ゴメンよ、何も覚えてないんだ。
紅実ちゃんは、俺をよく知ってるの?」
「うん、いつもこの交番の前を通ると、声かけてくれたんだよ。
あ、毬子お姉ちゃんともよくお話してたよ」
「そうか・・・・」
「啓人お兄ちゃん、わかんないことあったら、紅実に聞いてね。
それから、今くらいの時間、ちゃんと交番の前にいてね。下校時間なの。」
約束よ、と、指きりの手を俺に差し出した。
「わかった。約束だね」
くるり、と踵を返した紅実ちゃんの頭に、
見たことのある、髪飾りがつけてあった。

