テディベアは裏切らない

不思議なことに、こないだの一件を経てから、するすると物語が書けた。

けれど同時に、あれだけ心を万力にかけて搾り出していたような物語が、彼女への贖罪になるかどうか、そんなのはいっそ、どうでもいい気がしていた。

ただ、それでも完結させたのは……そして今日、わざわざ彼女を呼び出してこの原稿を渡したのは、けじめをつけたかったのかもしれない。

立ち上がって面と向かい、原稿を差し出す。

「中学の、あの日……。私は、アナタに取り返しのつかないことをしました」

だれが悪いとか、だれが許すとか、もう、わからない。

「アナタは、そうだと言うかもしれないし、言わないかもしれない。けど、私にとってアナタは、とても大事な人だから」

なにが悪いとか、なにで許すとか、もう、わからない。

「だから私の気持ちだけは、知ってもらいたくて、書いた小説です。アナタのためになるのか、私のためになるのか、それさえもわからないけど……だからこそ、アナタに読んでもらって、そしてできるなら……」

けど、なにもわからないのなら、逆に――これから、理解していけばいい。

「また、私と友達になってください」

そして彼女は、私の小説を受け取り、首を横に振った。

「なに言ってるの小百合。ふざけないでよ」

「え……」

「ずっと前から私達は親友、でしょ」

「……ええ。そう。そうですよね。アナタはそうでした」

あの時の私はアナタのような人で、私のようなアナタと、親友でした。

そう、私達はただ、とても、仲がよかっただけだったんだ。















-fin-