レナちゃんは明るくなった。前々から活発な性格だったけれど、壮馬くんに縫合をお願いしてから、以前にも増して明るくなった。自虐的な笑いが少なくなった。今じゃ私のほうが、「どうしたの小百合、テンション低いじゃない?」とレナちゃんに言われてしまう始末だ。

私はそんな彼女に、「あはは」と小さく笑って、些細な嘘をつく。

「昨日も小説書いてて、あんまり寝てないの。寝たの……三時だったかな」
三時ぃ!? と、二人は声を揃えた。

「ダメよそんなの! ちゃんと寝ないと」

と指を立てるレナちゃんは、基本、正しいことしか言わない。

「まだまだ若い私達だって、美容と健康は注意しないと。夜更かしは敵! ねえほたる」

「そうだそうだ。小百合は少し色が白すぎるしな。あ、あたしと一緒に今度、朝からジョギングでもすっかい?」

「うーん、丁重にお断りする~。ほたるちゃん、運動する時って鬼コーチになるし」

「ぐはっ。言われた!」

「いや、事実だから仕方ないし?」

「ぐはあっ、レナまで!」

「「あはははっ」」

小説を書いてて、寝たのが三時なのは本当。でも、テンションが低い理由は、それじゃない。だって、三時に寝るなんて、私にとってそんなに珍しくないから。