「……そう、本能に負けたのね」



俺が目を覚ましたとき、
ホールから海さんの声が聞こえた。



俺は上半身だけ体を起こし、

辺りを見回すと
やっと今までの状況を理解した。



そういえば、
気を失ったんだっけ、俺。


ホールのからの声が聞こえるってことは
ここはホール横の個室だろう。



「本能に負けたことで、呂依が余計な感情を捨てたのなら、私は何も言わないわ。

ただ……」


「……あの人間を本能に負けて殺したときのショックは大きいだろうな」