「誰の子ども?」
「そりゃ隼人じゃねぇの?」
「隼人は?知ってんの?」
眉間に皺を寄せ、美姫は留以に詰め寄った。
「…まぁ、知ってて別れたんなら最低だけどな。」
「で、その赤ちゃんも…?」
「ああ、手遅れだった。」
留以が そう言うと、美姫は拳を眉間に当てて涙を流した。
「陽菜の赤ちゃん…見たかったよぅ…。」
「俺も。」
「絶対可愛いもん…。」
「当たり前じゃん。」
そう言うと、留以は黙って車を走らせた。
「…着いたぞ。」
「ん、ありがと。」
「また何かあったら連絡して。」
「うん。おやすみ。」
留以の車を見送った後、美姫は すぐに電話を掛けた。
「もしもーし?」
機械越しに聞こえてくる脳天気な声が、益々 美姫を苛立たせる。
「隼人?美姫だけどっ!」
「姫ちゃんじゃん。どしたの?」
「どしたの?じゃないよ!
陽菜!妊娠してたって!」
「は…?」
「…やっぱ知らなかったんだ。」
「ちょ…待てよ!
冗談言うなって…。」


