「何が悲しくて、一人マンションの部屋にいるんだろう?」 誰もいない中、一人呟く。 1DKの小さな部屋に丸いテーブルが一つ。 その上に置かれたワインボトルとグラスが2つ。 私、桃香。 淋しさを紛らわす為にワインの力を借りているところ。 一週間前に彼から別れを告げられてしまったの。 なのに グラスは必ず二つ用意する。 だって、もしかしたらヒョッコリ戻ってくるかもしれないし。 あり得ない淡い期待を胸に抱く。