「蓮実…」 名前を呼ぶ君は どこか悲しそうに言う。 「何?」 そのあとに 言われた言葉。 信じられなかったんだ。 どうしても 信じたくなかった。 そのまま彼は、 まっすぐに帰って行く。 一度も振り返らずに。 何も言い返すことが出来なくて、 ただ茫然と立ち尽くす。 一瞬だったのに、 脳裏に焼き付いた。 涙も出ないほど突然で、 頭は真っ白だ。 私の後ろから、 もう1人の彼が呼びかけた。 振り向くことすらも 出来ない私。 彼はそんな私の 隣に立っていた。