隆介を好きになってから、片思いの切なさを知った。


恋がこんなにも切ないって知らなかったから・・・




裏切られた悲しみや、別れた後の寂しさは知ってたけど、『好き』が言えないもどかしさや、相手の気持ちが見えない不安を知らなかった。



今、会計をしてる隆介も好き。


ゆかりと直が言ってた。


店員さんにもヤキモチ焼くんだって・・・




そんな気持ちは隆介を好きになるまでわからなかった。


でもね、今、牛丼屋さんお姉さんにお礼を言う姿を見て…

胸の奥、ツンって痛くなった。




「うまかっただろ?」

隆介が3口くれた牛丼は、恋の味。

同じお箸で、あんたの食べてる牛丼を『あーん』って食べさせてもらう。


ほんとにペットみたいだよ。

飼い主の食事をもらって喜ぶペット。



「じゃあ、家でイイコトする?」


隆介は真っ赤になって、瞬きもできない私にメットをかぶせて笑う。


「大丈夫だって・・・嘘だよ。コーヒーでも入れるから。」




隆介の背中はいつも温かい。


唯一甘えられる瞬間。



こっそり頬をくっつける。