「こんなはずじゃなかったんだけどなぁ・・・美亜のせいで俺おかしくなってる。」


キスをする寸前でそんなことを言う隆介。

私が、話し出そうとしたところで、キスされた。



唇をくっつけたまま、隆介がニッと笑う。


見つめあったまま、キスをしてると涙が出そうに幸せを感じるんだ。



「ねぇ、隆介。何が?こんななはずじゃなかったって何が?」


唇が離れた瞬間に私が聞くと、隆介はまたキスをした。


「俺・・・こんなに女に振り回される男じゃなかったはずなのに…。もう恋愛なんてうんざりだって思ってたのに。」


隆介は静かに低い声でそう言って、ため息をついた。


私は泣いちゃいそうなくらい嬉しい気持ちを素直に伝えた。


「隆介…嬉しいよぉ…もう、恋愛恐怖症治ったんだね…嬉しいぃぃ!!」


隆介の胸に顔を埋める。

裸の隆介の肌が顔に当たって、ドキドキした。


「ここまで来たら、もう俺止めらんねぇからなぁ!俺、本気になると結構大変な彼氏だと思うけど… 今さら逃げるなよ。」


「うん…逃げるわけないじゃん。隆介大好き。隆介は?」


甘い会話の中でなら、『好き』って言ってくれるかと思って質問した。


…そう甘くはなかった。



「ば~か!うるせーよ!」


ふとんの中で、背中向けた隆介。

その背中に ピタっとくっついて、呼吸を合わせる。



「隆介、ありがと…」

背中に向かって呟いた私に、隆介は言った。



「それは俺のセリフ…」




隆介は、自分の髪を触りながらベッドから起き上がり、台所へ移動した。