お母さんを見つけてあげたいと思った。


隆介の為に今私ができること…隆介の一番会いたい人を見つけること。

消印に書かれた地名しか手掛かりのない中、見つかるはずないって誰かが私に囁いた。

私だってわかってた。

そんな簡単じゃないって。


だけど、何も動かずにいてお母さんを見つけることなんてできない。


翌日、一人で隆介が子供の頃過ごした街へ出掛けた。

『よけいなことすんなよ』って隆介は言った。

だけど、自分の生まれ故郷の住所をちゃんと教えてくれた。

私の性格を知ってる隆介は、きっと私の行動を予想してる。

本当は2人で行きたかったけど、それを切り出す勇気はなかったんだ。


隆介の育った街は、今私達が住んでいる場所から1時間くらい山の方向にある。


各駅停車でのんびりと向かう途中、どうしてだかわからないけど涙が溢れてた。

電車の窓から見える景色がとても美しくて、懐かしい気持ちになる。


私達が子供だった頃、今の街もこんな風に緑が溢れていたのに…



いつの間にか…

少しずつ変わってしまう。