ガラガラ… 恐る恐る応接室のドアを開ける。 「入って来い」 「しっ…失礼します」 聞こえてきた声は、怒っているようだった。 部屋に一歩足を踏み入れると、微かに甘い匂いがした。 「遅い。教室からここまで来んのに何秒かかってんだよ。58秒だぞ、58秒」 「…えっ」 声がした方向に目をやる。 黒い革のソファには、先生が偉そうに足を組んで腰かけている。 あたしを呼び出した張本人だ。 どうやらこの部屋には人は他に居ないようで、先生は書類を乱雑に広げて何やら作業をしている。