足音の正体は、制服を着た莱だった。 「なっ……なんで噂の矢沢優羽がいるの!?」 莱も俺が誰なのか分かったみたいで、大声で話す。 “噂の”って、俺ら同じクラスじゃん。 ……まぁいいや。 今まで、夜の学校に俺以外の生徒が来たことがなかった。 莱もビックリしているみたいだけど、俺もビックリなんだよ。 もともとタレている目の目尻を下げて、頬を緩める莱。 「ねぇ、優羽。ちょっと告白したい人がいるから、ここで練習相手になってくれない?」 ――は?