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電話が来て、家を出たと言う幾斗を待つために校舎を出た。


幾斗は毎日迎えに来てくれる。
未だ療養中の現在、幾斗は外出を禁止されていて、私の学校と新体操の練習の送り迎えだけが、唯一1人での外出を許されているので、幾斗はこの送り迎えをサボったことは一度もない。





ただ学校をバイクで送り迎えは流石に目立つので、毎日学校から5分くらいの場所にある森林公園で待ち合わせしている。
あまり人が来ない事が分かってからはずっとここが待ち合わせ場所。

なにせ幾斗は無駄に目立つから…
















いつもの場所に私が着くと直ぐに聞き慣れたバイクのエンジン音が聞こえた。


最近気付いたが、幾斗のバイクのエンジン音だけ、聞き取れるようになった。











道路の向こうから、シルバーの車体が見える。


そこに乗る人物の、見慣れた黒いフルスモークのヘルメット。





「遅い」


「これでも飛ばしてきたんだよ。だったら明日から校門までお迎えにあがりましょうか?」


「結構です!」


「ったく…」




幾斗は私にピンクシルバーのメットを投げて寄越した。






「早く帰るぞ。熱くて死ぬ」


「大袈裟なんだから。まだ7月でしょ?8月になったらどうするのよ」


「うるせぇ…」



幾斗は本当に熱いのか、ヘルメットを取り去り金色の髪をかき上げた。









「ふふ。じゃあ早く帰ろっか」








私が幾斗の手を取ろうとした時だった。