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「会頭・・・」


「この子の保護者は?」


「黎龍、一人です」


「そうですか・・・」


会頭と呼ばれた男性は、腕の中でぐったりと眠る少女に視線を落とした





「この子は・・・私が引き取ります」







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目が醒めると

目の前には知らない天井が広がっていた




「ここ・・・、どこ…?」

ゆっくりと体を起こしてみる



そこは和室で、私は布団に寝かされていた




「あぁ、目が醒めましたか。気分はどうですか?」


奥の襖から出て来たのは、どこかで見た顔だった




「あの・・・あ、」


そうだ、この人はお兄ちゃんの…






お兄ちゃん






そうだ

お兄ちゃんは・・・・




「あの、」


「はい?」



その人はいつの間にか私の横に来て座っていた




「あ、の…お兄ちゃん、は…」

自分でも声が震えたのが分かる。でも、聞かないわけにはいかなかった







「黎雅は、この家の、彼の部屋に寝かせてあります」


「お兄ちゃんの、部屋?」


「えぇ。彼はここで仕事をしていましたから。
桜千会七瀬組組長として・・・・」

「桜千、会・・・・」











それからこの、お兄ちゃんの上司であったと言う若桜 皇也(わかさ こうや)さんから話を聞いた


お兄ちゃんがやくざだったことを────


















私が知らないお兄ちゃんの世界




信じられないけど、私は知ってるから……








お兄ちゃんが仕事の人の話しているとき、とっても楽しそうに笑ってた事


きっとここは、お兄ちゃんにとって大切な場所なんだね