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いつもは静かな本邸の離れがバタバタと騒がしく、辺りに血の匂いが嗅ぎ取れた。




「広間を開けて、重傷者はすぐに病院へ運びなさい」



皇也は走り回る部下達に指示を飛ばす。



「皇也」


「柳瀬、人数確認は」


「全員いるよ。今日休みの奴等全員。確認を取ったから間違いない」


「そうですか…幾斗はどうしていますか?」


「今、湯川が付いてる」


「わかりました。必ず幾斗を一人にしないで下さい。わざわざ意識不明の部下の場所をこちらに伝えてくるなんて、幾斗への最終警告といった所でしょうか…。今日非番だった者全てが襲われるとは明らかに情報を流した輩がうちにいます」


「以前から目を付けていた奴等には既に張らせているけど、まだ動いてはいないみたいだね」


「こちらの守りが堅くて幾斗に近付けないので、幾斗に自ら守りの外に出るように仕向けたんでしょう。印を残して・・・」


「麻綾はどうする?」


「知らせるのは得策じゃないですが、何か理由を作って帰って来てもらいます」


「分かった。池島を行かせるよ」


「ええ、お願いします。今はこの現状をどうにかしなければ・・・」









皇也は本邸の大広間に並べられた男達を見回した。







目の前の彼等に責任を感じている筈の麗しの龍を思い、心の中が煮えたぎるのを感じた───