浅見さんと言うらしい、その人は、漆黒の髪を軽く後ろに流し、瞳は切れ長で、すごく格好良いが怖い……
「麻綾は浅見とは初めてでしたね。今日、長期の任務から帰って来たんですよ」
若桜さんに言われ、そちらを向くと、浅見さんとバチッと目が合った。
私は慌てて頭を下げる。
「七瀬麻綾です」
「お前が黎雅の…」
「黎雅と浅見は同期なんですよ。二人を合わせて若桜の“双龍”と呼ばれていました」
若桜さんが私の頭に手をおきながら言った。
「今日も、幾斗のところへ行ってくれたんですか?」
「はい。お兄ちゃんの四十九日、一緒に行けるかなと思ったんですけど……行ってくれるかどうかは……」
「そうですか…」
「まぁ、外出許可出るか分からないし、当日の体調とかもありますけど。でも、お兄ちゃんも幾斗には来て欲しいんじゃないかなって」
私は笑って若桜さんを見上げた。
「そうですね。当日は午後に学校に迎えを行かせますから、2人で行ってらっしゃい。幾斗も私達とは、行きにくいと思いますから、お願いしますね?」
「はい。ありがとうございます。それじゃ、失礼します」
頭を下げ、池島さんと屋敷へ入った。
その後ろ姿を浅見さんが
見ている事にも気付かずに……

