「別にいいじゃねぇか」
「え…?」
「別にあいつの前で泣こうが、喚こうが、いいじゃねぇか。あんな事聞かされたら、それが普通だぜ?何で我慢する必要がある?大体な、こんなに早く吹っ切られたら、あのシスコン、絶対泣くだろ…」
「でも……」
「お前も麗龍も、うじうじ考え過ぎなんだよ。言いたい事があんなら口に出してちゃんと言え」
口調はキツいが、藤堂さんの手は未だに私の頭を撫でている。
その心地好さに、熱で疲れきった体が眠りへ落ちようとしていた。
「ちゃんと心と正直に向き合え。心を押さえ込むんじゃねぇ。お前たちはまだそんな事覚える必要はねぇんだ。自分の心を偽るな。じゃねぇと、お前もあいつも前には進めねぇよ」
その言葉を聞き終わると同時に、私の瞼は完全に落ちてしまった。

