「若桜、さん?」
突然な事にわけが分からず、藤堂さんを見るが、彼は黙って私を見ていた。
でも何故か悲しげで、今にも泣きそうな……
私の視線に気付くと、すぐにいつもの笑顔に戻ったが、やはり違和感があった。
「貴方はあの子に必要な人です」
若桜さんが私を抱き締めながら口を開く。
あの子と言うのが、何故か麗龍と呼ばれるあの子だと確信していた。
「黎雅が死んで、あの子の世界は一筋の光もなかった。闇の中でもがき苦しんで、それももう限界まで来ていました。ですが、あなたが現れた事で一筋の光が射した……──
あなたは、あの子の光なんです」
「光?」
「えぇ。今は分からないかもしれません。ですが、あの子を見捨てないでやってほしい。この世界はあなたがいるべき場所ではないけれど……」
いつも優しげに、だけど真っ直ぐ迷いのない若桜さんの目が揺れていて、私は気づいたら頷いていた。
*****
「ねぇ、池島さん。若桜さんの言う、見捨てないでって、どう言うことなんだろう?でも、あれって麗龍さんの事ですよね?ってことはこれからも病室に行って欲しいって事?」
私がいるのは藤堂さんの自室。
あれから熱が再び上がった私を見兼ねた藤堂さんが、近くの自室に連れてきてくれた。
藤堂さんが池島さんを呼んでくれて、ココアを煎れてもらいながら、先ほどの若桜さんの話をしていた。
「ええ…会頭が言ったのは麗龍の事です。それに麗龍の病室に入る許可が降りたんですよ。麗龍の病室入れるのは、四天王の方と会頭のみで、護衛は選りすぐりの先鋭部隊。麻綾さんは特別なんですかね」
「ずいぶん厳重なんですね」
「まぁ、麗龍は四天王の一人ですからね。情報なんてどこから流れるかわかりませんし、敵対の組に嗅ぎ付けられたら困りますから。それに麗龍は何度か逃げ出してますし、初めの頃は部屋にあるものを使って自傷を行っていたそうで……
あの護衛は麗龍の見張りも兼ねているみたいですね」
「そうなんですか……」
確かに会ったとき点滴の針を抜いて押さえ付けられていた。
突然な事にわけが分からず、藤堂さんを見るが、彼は黙って私を見ていた。
でも何故か悲しげで、今にも泣きそうな……
私の視線に気付くと、すぐにいつもの笑顔に戻ったが、やはり違和感があった。
「貴方はあの子に必要な人です」
若桜さんが私を抱き締めながら口を開く。
あの子と言うのが、何故か麗龍と呼ばれるあの子だと確信していた。
「黎雅が死んで、あの子の世界は一筋の光もなかった。闇の中でもがき苦しんで、それももう限界まで来ていました。ですが、あなたが現れた事で一筋の光が射した……──
あなたは、あの子の光なんです」
「光?」
「えぇ。今は分からないかもしれません。ですが、あの子を見捨てないでやってほしい。この世界はあなたがいるべき場所ではないけれど……」
いつも優しげに、だけど真っ直ぐ迷いのない若桜さんの目が揺れていて、私は気づいたら頷いていた。
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「ねぇ、池島さん。若桜さんの言う、見捨てないでって、どう言うことなんだろう?でも、あれって麗龍さんの事ですよね?ってことはこれからも病室に行って欲しいって事?」
私がいるのは藤堂さんの自室。
あれから熱が再び上がった私を見兼ねた藤堂さんが、近くの自室に連れてきてくれた。
藤堂さんが池島さんを呼んでくれて、ココアを煎れてもらいながら、先ほどの若桜さんの話をしていた。
「ええ…会頭が言ったのは麗龍の事です。それに麗龍の病室に入る許可が降りたんですよ。麗龍の病室入れるのは、四天王の方と会頭のみで、護衛は選りすぐりの先鋭部隊。麻綾さんは特別なんですかね」
「ずいぶん厳重なんですね」
「まぁ、麗龍は四天王の一人ですからね。情報なんてどこから流れるかわかりませんし、敵対の組に嗅ぎ付けられたら困りますから。それに麗龍は何度か逃げ出してますし、初めの頃は部屋にあるものを使って自傷を行っていたそうで……
あの護衛は麗龍の見張りも兼ねているみたいですね」
「そうなんですか……」
確かに会ったとき点滴の針を抜いて押さえ付けられていた。

