龍の世界


「ッ……」


「麻綾ちゃんッ!?大丈夫?」



私は体中の力が抜けるような感覚を感じた。
それに逆らえなくて、ガクリと膝を折ったところを柳瀬さんに抱き締められる。









「麻綾ちゃん…大丈夫。大丈夫だよ」








柳瀬さんは、麗龍から私を遠ざけようとしたのかもしれない…
でも私は彼から目を離せなかった。

そして彼も私を見ていた。






「お前の兄は俺が殺したんだよ…俺が…あの人を」


「あなた…が?」









「麗龍!止めなさい!」


そう言った皇也さんの声は聞こえなかった。きっと、彼にも…







「そうだ…俺があの人を死に追いやった」










「俺がいたから黎雅さんは死んだ……」







そこまで聞いて、私の記憶は途絶えた。