「どした? 暗い顔して!」
−そんな暗い顔してました?
「ああ、してたよ」
−そうですか……。すみません……。
「何も謝ることはないよ。……いっつもソーセージだね?」
−ああ、はい……。
「よっぽど好きなんだね」
おばさんは笑っている。
それもそうだろう。
私はいつもいつもソーセージを買っていた。
路地に行く度にろくへのお土産として。
「よっぽど好きなんだね」おばさんはそう言った。
だけど、私はろくがそれを本当に好きなのかは知らない。
ひょっとしたらサラミの方が好きなのかも知れない。
わからない。
ろくと話したい。
いろいろ聞きたい……。



