もう18時を過ぎたからからだろう、いつのまにか工場からの騒音は消え、ブロック塀越しに聞こえる家々の生活の音もどこか遠くに聞こえていた。 静まり返った路地裏。 厳密にそれは音としては存在しないのかもしれないが、何かが息を潜める”音”そういう気配が漂ってきていた。 「猫……? ろく……か?」 航太が私の耳元で囁く。 違う。 ろくじゃない。 ろくはこんなじゃない。 という私の呟きに、航太が二度、三度と無言で頷く気配がした。